キャットフードは賢く選ぼう

結石用キャットフード

飼い主さんの間でもペットフード業界でも、最近では猫が泌尿器系の病気を発症しやすい動物だと知られてきました。 したがってホームセンターに売られている比較的低価格帯のキャットフードでも、泌尿器系疾患に配慮したミネラル分配合、などの表示が見られます。

しかしそれらの多くはあくまで「予防」としての付加価値であり、実際に尿路結石症(尿石症)と診断された猫には、獣医師の指導のもと、食事療法としての「結石用キャットフード」を与える必要があります。

尿路結石症とは尿管や膀胱、腎臓のなかに結晶や結石ができる猫下部尿路疾患の一つです。 結石が小さいうちは自然に排出され、トイレ砂がキラキラ光ったり、尿の回数の増加、結石が尿道を傷つけて血尿などの症状がみられます。

進行すると排尿時に痛みを訴え、結石が完全に詰まると尿として排出されるべき老廃物が体内に溜まり、尿毒症を発症すると短時間で死亡する場合もあります。

「結石用キャットフード」はその猫の尿路疾患の状態により、フードの種類や与える期間が異なりますが、基本的には「体内に溜まった結晶や結石を溶かして体外に排出させ、同時に適切なphコントロールで新たな結晶や結石を防ぐ」事を目的とします。

結石用キャットフードの特徴としては、まず結石そのものへの対応です。

結石ができる原因としては、主に猫の餌に含まれるマグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分の過剰摂取、体質や生活環境、肥満が原因と考えられています。

結石には尿がアルカリ性に傾いて生じる「ストルバイト結石」と、酸性に傾いて生じる「シュウ酸カルシウム結石」があり、フードによって対応する結石が異なります。

「ストルバイト結石」に対応したフードは尿を酸性にする効果があり、両方に対応したフードは最適なpHバランスを維持する効果があります。 ですので素人判断で結石用フードを選んだり、猫が食べないからと安易に変更するのは望ましくありません。

また同じメーカーの結石用フードでも、病状に応じて複数の段階に設定されている餌もあるので、必ず獣医師の診断と指示を仰ぐ必要があります。

結石用フードのその他の特徴としては、抗酸化成分による免疫力の維持、肥満傾向の猫に配慮したライトタイプや、形状の種類としてはドライタイプやウェットタイプがあります。

また結石用フードは療法食なので、猫が食べてくれなければ治療としての効果が発揮できません。 したがってどのメーカーの餌も猫が食べやすいよう、香りづけに力を入れるなど「食いつき」を良くする工夫もされています。

猫の結石の治療は重症度に応じて入院手術や、カテーテルを通して体内の結石を人工的に排出するなどの方法がとられますが、軽度の場合や退院後は食事療法が中心となります。 結石用キャットフードは結石を融解させ発生を防ぐ、尿路疾患に罹った猫にとっては、いわば薬のような大切なフードです。